生活習慣病
生活習慣病とは?
生活習慣病とは、不適切な生活習慣(食事・運動不足・喫煙・飲酒・ストレスなど)によって発症し、主な病名は高血圧・糖尿病・高脂血症・高コレステロール血症が挙げられます。長期間にわたり罹患し、徐々に悪化すると脳梗塞・心筋梗塞・急性大動脈解離・脳出血・胸部・腹部大動脈瘤破裂・急性閉塞性硬化症等の重篤を引き起こします。この様な病気に罹患した場合、緊急手術が必要となり長期間の入院を要します。
主な生活習慣病
高血圧
- 原因:塩分の摂りすぎ、運動不足、ストレス、肥満、遺伝
- 症状:多くは無症状だが、頭痛・めまい・動悸・耳鳴りなど
- 合併症:脳卒中(脳梗塞・脳出血)、心筋梗塞、腎不全
- 治療:減塩、運動
降圧薬(Ca拮抗薬、ARB・ACE阻害薬、ARNI、βブロッカー利尿薬)等
糖尿病
- 原因:過食(特に糖質・脂質)、運動不足、肥満、遺伝
- 症状:口渇、多尿、体重減少、疲れやすい
- 合併症:
- 細小血管障害(糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害)
- 大血管障害(脳梗塞・心筋梗塞・足の壊疽)
- 治療:食事療法、運動療法、
内服薬:ビグアナイド、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、GLP-1作動薬、チアゾリジン系、SU剤、インスリン速効型、末期の場合はインスリン皮下注射
どの薬を選ぶか?- ビグアナイド:心疾患がなければ肥満のある2型糖尿病患者さんの場合、第一選択薬となります
- DPP-4阻害薬 : インスリン分泌促進し薬によっては腎保護作用あります
- SGLT2:血糖を低下させますが、心・腎不全の治療に使用されることもあります
- GLP-1作動薬:インスリン分泌を促進、グルカゴン分泌を抑制、胃排出を遅延し食欲を抑制、心血管保護作用(動脈硬化の進行を抑える)といった、最近開発された糖尿病薬です。内服薬、注射薬があります
(※当クリニックでは美容目的にて投薬は行っておりません。)
脂質異常症(高コレステロール・高中性脂肪血症)
- 原因:動物性脂肪の摂りすぎ、運動不足、遺伝
- 症状:多くは無症状だが、進行すると動脈硬化が進み心血管疾患のリスク増加
- 合併症:動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中
- 治療:食事療法(脂質制限・魚の摂取増加)、運動
治療薬:スタチン(LDL低下)
フィブラート・ペマフィブラート(TG低下)
メタボリックシンドローム
- 診断基準:
- ウエスト周囲径 男性 ≥ 85cm、女性 ≥ 90cm
- 高血圧(収縮期 ≥ 130mmHg、拡張期 ≥ 85mmHg)
- 高血糖(空腹時血糖 ≥ 110mg/dL)
- 脂質異常(TG ≥ 150mg/dL または HDL < 40mg/dL)
- 合併症:心血管疾患、糖尿病、脳卒中
- 治療:食事改善、運動、減量
痛風・高尿酸血症
- 原因:プリン体の多い食品(肉類・アルコール・魚卵)、肥満、遺伝
- 症状:関節痛(特に足の親指に発作的に激痛)
- 合併症:腎障害、尿路結石
- 治療:食事療法(プリン体制限)、
治療薬:尿酸促進薬:腎機能が悪い人には推奨できません
尿酸抑制薬:腎機能が悪い人にも使えます
動脈硬化
- 原因:高血圧、高血糖、高脂血症、喫煙、加齢
- 症状:初期は無症状だが、進行すると狭心症・心筋梗塞・脳梗塞の原因
- 検査:頸動脈エコー・心臓エコー、ABI(足関節上腕血圧比)
- 治療:生活習慣の改善、脂質異常症のお薬にて治療を行います。
慢性腎臓病(CKD)
- 原因:糖尿病、高血圧、腎炎
- 症状:浮腫、尿量減少、倦怠感
- 合併症:透析が必要になる場合がある
- 治療:血圧・血糖管理、食塩・タンパク制限
治療薬: SGLT2(eGFR40以下)を使用します
生活習慣病の予防・改善
生活習慣病は予防が最も重要です。以下の点に注意して健康管理を行いましょう。
食事療法
- 減塩(1日6g未満)
- バランスの良い食事(野菜・魚・食物繊維を多く)
- 糖質・脂質を控える(甘い飲み物・揚げ物・ジャンクフードを減らす)
- 適正なカロリー摂取(BMIを適正範囲に維持)
運動習慣
- 有酸素運動(ウォーキング・ジョギング):1日30分以上、週3〜5回
- 筋力トレーニング(スクワット・腕立て伏せなど):週2回
- 日常生活での活動量を増やす(階段を使う、こまめに動く)
体重管理
- BMI 18.5〜24.9 を維持
- 内臓脂肪を減らす(特に腹囲が大きい人は注意)
禁煙
- タバコは動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを2倍以上にする
- 禁煙支援薬(ニコチンパッチ・チャンピックスなど)を利用するのも有効
節酒
- 適量のアルコール(1日ビール500mL、日本酒1合、ワイン200mLまで)
- 週に2日は休肝日を作る
- 過度の飲酒は肝障害・高血圧・糖尿病のリスクを上げる
ストレス管理
- 十分な睡眠(7時間以上)
- リラックス法を取り入れる(趣味・瞑想・音楽など)
- ストレス解消のための暴飲暴食を避ける